Episode❸ 勝浦での子育て編
 
最初のころは病院関係が大変だったかも

 

−  お子さんは現在おいくつになりますか?

  中林さん

勝浦で生まれて、現在8歳の小学校2年生になります。

 

−  勝浦には現在産婦人科がありませんが、当時はどちらで出産されましたか?

  中林さん

勝浦の隣、いすみ市にある「もりかわ医院」さんで出産しました。当時も勝浦市に産婦人科はなかったんじゃないかなと思います。私はどちらにせよ家の近くに病院はなく、検診に行ったりするのも毎回車で行かなきゃいけなかったんです。「陣痛が来てから30分かけて山道を行くのか」みたいな不安はあったけど、まわりの知り合いも結構もりかわ医院さんで産んでいて、いい話もいっぱい聞いてたから、そこまで大変だったことはなかったです。

 

でも、流石に生まれそうな時期に旦那がいなかったらどうしようと思ったので「飲み会に行かないでね」みたいなことは言ってました(笑)。あとは、普通のタクシーは近くにないし、陣痛タクシーもないから、知り合いのママたち何人かに出産時期を伝えておきました。「どうしてものときは行くからね!」なんて言ってくれる先輩ママたちもいたりして心強かったです。

 

−  出産後は、最初から勝浦でお子さんを育て始めたのでしょうか?

  中林さん

出産してから私の母が3週間くらいの間、平日だけ勝浦に通ってくれたのでとても楽に過ごせましたね。里帰りじゃなく里が来てくれたというか(笑)。最初から旦那も一緒に見てくれたし、ありがたかったです。

 

−  お子さんが発熱したり風邪を引いたときは市外の病院を使われていましたか?

  中林さん

市外でしたね。それこそ小児科も勝浦市内はあんまりなくて。

 

でも、熱が出てしまってからだと予約もできなかったり、発熱中は病院の中にも入れなかったので、すごく大変でしたね。今は体も大きくなって、すぐ近くにある診療所が見てくれるから楽になったけど、最初の頃は病院関係が1番大変だったかもしれません。

 

−  出産や子育てをする際に使った制度はありますか?

  中林さん

私の頃は特になかったんですけど、今は勝浦市では色々制度があって。産後にお母さんたちがゆっくり休んで、子どもたちは助産師さんが見てくれる産後ケアみたいなものが、出産したいすみ市の病院でもできるようになってましたね。

 

−  現在使っている制度は何かありますか?

  中林さん

今だと、子どもたちの医療費無料や給食費無料などですね。それはすごく助かっています。

 

−  産前、産後、子育てにおいて、特に良かったこと、苦労したことは何ですか?

  中林さん

田舎なのでどんなに大声で泣いても気にならないというのはあります。

 

あと、近くのお婆ちゃんたちがすごく近寄ってきてくれます。私、喋りかけられるのは嫌いじゃないので、すごく気が楽でした。うちの子は靴を履かない子で、ひたすら裸足で生きているんですけど、「たくましいわね」みたいなことを言ってくれたり、スーパーでひっくり返って号泣していても皆笑って見てくれたり。

 

基本、車移動で、電車に乗せるから静かにしなきゃいけないとかもなく、子どもに我慢させるタイミングがすごく少ないです。だから、こっちもピリピリしないし、子どももピリピリしないし。それはすごい楽だったなと思いますね。

 

子育ても、少し疲れたなと思ったら子どもを連れて部原の海へ行って、バームクーヘン食べながらコーヒー飲んだりしました。そんなにお金をかけずにホッと息抜きができる場所がすぐ近くにあるんです。

 
地域に根差したいろんな授業が行われている

 

−  小学校にはどのように通われているんでしょうか?

  中林さん

朝7時ちょっと前に、家から車に乗って山道を降りて、そこから10分弱くらい歩いて登校班との待ち合わせ場所に着くので、そこで私はお見送りをします。子どもはトータル30〜40分くらい歩いて学校に行っていますね。7時40分には校門をくぐらないといけないので。

 

−  息子さんのクラスは、現在何人ですか?

  中林さん

今は8人で、ちょうど男子4人、女子4人の小規模校と言われる学校ですね。

 

−   小規模校特有の特徴などはありますか?

  中林さん

全部で60人弱しかいないので、全校生徒みんな友達みたいな感じですね。休み時間にはみんなで遊んでたり、入学してすぐ上級生も下級生も、先生も、名前を覚えてくれるので、仲良くみんなで遊んでるなっていうのが印象強いですね。

 

それと、今年は外部から図工の先生が来てくれて、 ついこの間は一緒に手描きで壁画装飾をする、みたいな授業をやっていました。外にある体育倉庫を塗る日や、渡り廊下の中に水族館を作る日があったりして、親も一緒に参加させてもらったり。小規模校だから親もほぼ子どもたちの顔は分かるし、子どももほぼ親たちの顔がわかっているのが、そういうのはいい雰囲気だなとすごく感じます。

 

−   勝浦ならではの教育と感じるところはありますか?

  中林さん

小学校の隣の農家さんが、「ブルーベリーがなってるから採りにおいで」っていうのが、毎年恒例であったりします。みんなで紙コップにブルーベリーを摘みながら食べて、お土産でも持って帰ってくるみたいな。

 

あとは、地域のお母さんがよぼくろ(ミミズク) の人形作りを教えに来てくれたり、もうすぐ出産するお母さんが命の授業として、臨月のお腹をみんなに触らせてくれたりとか、小規模校だからというよりは、そういった地域に根差したいろんな授業が行われているのがいいなと思いますね。

他の取材で総野小学校を訪れた際、たまたま要芽君に遭遇。体育の授業の前の様子。
  
 
勝浦での子育ては自分に合っていて、楽しい

 

−   子育ての面で、勝浦のどういうところがおすすめできると思いますか?

  中林さん

私は自然の中で子育てをするっていうのがすごく楽しかったし、自分に合っていたからこそ大きなメリットだったなと思っています。「大潮だから遊びに行こうぜ」って、1歳になる前の子どもを脇に抱えながら親たちが生き物をみんなで探すみたいなこともやっていました。子どもがいるからこそ、 住んでるだけじゃわからなかった生き物や自然の変化を一緒に体験できたので、それはすごく楽しかったです。

 

映画館やゲーセンが近くになくても、その辺にある石ころで遊べるような人にはすごくいい場所だと思います。でも、気軽に使えるデリバリーとかがないから、風邪をひいたときや、疲れて何もできないときにピザの配達が来ないのは困ります(笑)。

 

 

−   子育て関連で何か地域との繋がりはありますか?

  中林さん

移住して最初に、知り合いがいすみ市でやっている『風の谷ふぁーむ』という田んぼの学校でお手伝いをしていました。そこでは、子どもたちがのびのびと遊んでいる様子が見られて、私も一緒に遊んでいて楽しくて、それがすごくいいなと感じたんです。

 

それで、自分の子どもが産まれてからも一緒にそういう遊びを楽しめる仲間を作りたいと思って、気付いたら『自然あそび・コロボックル』というサークルを立ち上げました。味噌作りや、海に遊びに行くイベントなどを不定期で開催しています。

 

また、『全力で遊ぼう』という「大人も子どもも気にせず、とりあえず楽しもう!」みたいなイベントもやっています。そこに来れば、自然と友達になれて、大人にああだこうだ監視されることもなく、子どもたちが自分で考えて楽しめる。それを大人も一緒に見て楽しんだり、大人は大人で楽しんだりというような場所を勝浦でも作れたらいいなって。

 

やっぱり子どもが1か所に集まることってなかなかなくて、公園に行ってもあまり人がいなかったり、知ってる子がいなかったりなんてことも多いんですよ。だから、その日にそこに行けば必ず楽しめるような場所を作りたくて、そんなイベントを不定期ですがやっています。

 

また、同じような考えで、子どもたちが楽しく遊ぶことに対して大人が見守ってあげて、子どもたちのやりたいことを応援しようっていう考えを『勝浦プレーパーク』という取り組みで実現させたいという友達ができたので、それも手伝って一緒にやっています。

 

移住してきたときはまだ移住仲間も少なく、自然遊びサークルにもあまり人がいなかったです。勝浦の中でそういった価値観を共有できる友達があまりいなかったんですけど、コロナの後に少しずつ移住者が増えて、そういうことを楽しいと思う同世代の子供のママも増えたので、そういう活動が活発になることはすごく嬉しいです。

 

−   『全力で遊ぼう』ではどんな内容の遊びが人気でしたか?

  中林さん

流しそうめんをやったときは、子ども食堂と一緒にやって、「すごく楽しかった」という声が多かったです。鹿の解体をした時は賛否両論ありました。でも、どんな内容が良かったというよりも、とりあえず皆で走っていれば楽しいよねって。こっちが何かを準備して「これができるよ、さあおいで」とやるよりも、「こんな場所があるから勝手に楽しんで」ってやるほうが子どもたちも絶対に楽しいんですよ。その都度その都度のメンバーとフィーリングでいろんな遊びが生み出されていく方が、子どもたちも自分がやりたいと思ってやれるのが楽しめるのかなと思うので、今は割とそういう方向でやっています。

2023年5月に行われた『全力で遊ぼう』の様子。この日の子ども食堂はカレー。

 

−   参加されるメンバーは移住者の方が多いですか?

  中林さん

地元の人が多いんじゃないかなという感じはしますね。『全力で遊ぼう』では顔見知りの方が多いですけど、『勝浦プレーパーク』のほうは100人以上集まることもあるので、地元の方々にもそういうことに対する需要はあるんだなと最近すごく感じました。

 

−   そういったイベントには移住希望者の方でも参加できるんでしょうか?

  中林さん

もちろん、誰でも参加OKです。例えば、海水浴帰りの観光客のお姉さんたちがたまたま通って、そのまま流しそうめんを食べて帰っていったこともありました。そういう「誰でも、なんでもいいよ」みたいな一期一会で生まれる面白さがあったりするのがいいところだなと思っています。

 

−   勝浦での子育てにおいて大切にしていることは何ですか?

  中林さん

大切にしていることは、とりあえず楽しく過ごすことですね。何回も言っちゃうんですけど、私は本当に自然の中で子どもと一緒に遊ぶのが大好きなので、勝浦での子育てはすごく楽しいし、自分に合っているなと思っています。こうしなきゃいけない、ああしなきゃいけないみたいな場面もたまにはあるけど、それ以外は楽しく過ごす!それが私の大切にしていることですね。

 

− 最後に、勝浦へ移住を検討している方々にメッセージをお願いします。  

  中林さん

勝浦での子育てや暮らしは本当に楽しいので、ぜひ皆さん移住してきてください!

 

−  中林さん、本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

  中林さん

ありがとうございました!

 

 

インタビュー日:2024/3/13
インタビュアー:勝浦市企画課 移住・定住支援係
編集・写真:勝浦市地域おこし協力隊 大和田里奈


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